地球低軌道環境観測衛星「てんこう2」打ち上げへ〜弊社の高機能回路基板技術がH3ロケット7号機搭載衛星に採用〜

このたび、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2025年10月21日10時58分頃(日本時間)に種子島宇宙センターから予定しているH3ロケット7号機によるHTV-X1号機技術実証ミッション「超小型衛星放出H-SSOD」によって、日本大学理工学部航空宇宙工学科奥山教授研究室が開発した地球低軌道環境観測衛星「てんこう2」が軌道に投入される予定です。
本衛星は、2018 年に打上げた地球低軌道環境観測衛星「てんこう」の後継機として、宇宙線観測、樹脂材料劣化観測、高解像度カメラによる地球観測、衛星通信(C帯周波数によるデータ伝送)の実証を担い、弊社の高機能回路基板技術がその制御システムに使用され、宇宙利用の安全性の向上を支援します。
1. 打ち上げ概要
打ち上げプロセス | H3ロケット7号機でHTV-X1号機を軌道投入後、HTV-X1が国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング。物資搬送後、HTV-X1が分離し、高度約500kmでH-SSODにより「てんこう2」を放出 |
衛星名 | 地球低軌道環境観測衛星「てんこう2」 |
打ち上げ日時 | 2025年10月21日 10時58分 (日本時間での予定。国際宇宙ステーション運用との調整により変更可能性あり。最新情報はJAXA公式発表をご参照ください) |
打ち上げロケット | H3ロケット7号機 |
搭載機体 | 新型宇宙ステーション補給機 HTV-X1号機(小型衛星として相乗り搭載) |
打ち上げ場所 | 種子島宇宙センター 大型ロケット発射場 |
実施機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA) |
2. 弊社技術の貢献
「てんこう2」プロジェクトにおいて、弊社は衛星制御システムに使用される全ての高機能回路基板(10cm×10cm、10枚)の開発・製造を担当しました。
これらの基板は、真空、放射線、極端な温度変化、打ち上げ時の振動衝撃といった宇宙環境に対応し、衛星の姿勢制御やデータ処理(例:宇宙線観測装置のデータ最適化)の構成要素として機能します。
日本大学理工学部航空宇宙工学科奥山教授研究室の回路基板開発に、弊社の回路基板製造技術との産学連携により、高エネルギー荷電粒子や紫外線の観測、衛星通信(C帯周波数によるデータ伝送)など、地球低軌道環境の詳細なデータ取得を支援しています。
3. 技術開発の背景
宇宙デブリの増加や放射線環境の監視ニーズが高まる中、地球低軌道環境の詳細な観測は、軌道の安全性向上や持続可能な宇宙開発に不可欠です。
弊社は、こうした社会的要請に応えるべく、宇宙機器向け高機能回路基板の研究開発を推進してきました。
今回のプロジェクトでは、日本大学の奥山教授研究室との産学連携により、NASAやESAミッション由来の観測装置を活用した先進集積回路の宇宙環境耐性評価を行い、JAXAの宇宙プロジェクトを支援しています。
4. 今後の展望
「てんこう2」による技術実証データは、衛星設計や宇宙環境観測技術の標準化に役立ちます。
弊社は、本プロジェクトの知見を活用し、宇宙機器の技術開発を継続し、2027年3月の打上げを目指した次の衛星開発プロジェクトも始動しています。
衛星プロジェクトへの貢献を通じて、持続可能な宇宙利用を支援してまいります。